燃料電池の研究

                         2年1組 佐野貴弘・馬場 裕

  1 実験の動機
  2 燃料電池の原理
  3 実験方法
  4 実験結果・考察
  5 まとめ






1 実験の動機

 燃料電池は、とてもクリーンな電池として、今、大変に注目されている。その燃料電池を調べて、実際につくり、効率よく電圧を発生させる方法を調べ、実験しようと思った。

2 燃料電池の原理


 燃料電池にはいろいろな反応を利用したタイプのものがあるが、その一番基本的なものは、
水素酸素からができる反応を利用したものである。
  2H2O2 → 2H2O
 この反応は、ただ水素と酸素を混合しただけでは反応しないが、マッチで点火するなど、反応のきっかけにあたるエネルギー(活性化エネルギー)を少し与えてやれば、発熱反応なので、あとは爆発的に反応が進む。この爆発のときに出るエネルギーを、電気のエネルギーとして取り出そうとしたものが「燃料電池」である。具体的には、水の電気分解の時の逆のことをやれば電圧が発生する(図)。電気分解では、陽極と陰極にそれぞれ酸素と水素が発生するが、燃料電池はこの酸素と水素を消費して電流を取り出している。

3 実験方法

 今回の実験では、酸素と水素の供給を簡単にするために、外部から気体を送り込むのではなく、いったん外部電源に電極をつなぎ、しばらく水の電気分解をして酸素と水素を発生させ、その後発生した酸素と水素を消費して電流を得る、という方法で行った。

        

 また、電極として使用したものは、

   ・炭素棒
   ・備長炭
   ・炭素棒に金網を巻きつけたもの
   ・炭素棒にパラジウムめっきをした金網を巻きつけたもの
   ・炭素棒に白金めっきをした金網を巻きつけたもの

 の5種類を使って、それぞれの比較実験を行った。

    備長炭   炭素棒   金網

 発生した気体をためておくために、炭素棒にビスキングチューブ(半透膜のチューブ)を巻きつけて輪ゴムでとめて、実験した。

(補足) パラジウムめっき と 白金めっき について

 今回の実験で、炭素棒に「パラジウム」と「白金」のめっきをした金網を取り付けて比較実験を行った。これは、炭素棒だけではなかなか反応が進まず、パラジウムや白金があると、気体の水素(H
2)が活発に反応しやすくなるようだからである。インターネットなどで「燃料電池」を調べていめっき液くうちに、これらの金属が触媒の作用をして反応を進みやすくすることがわかった。
 パラジウムめっきには塩化パラジウム(PdCl
2)の溶液(右写真)を使い、ステンレスの金網(200メッシュ)をこれに浸しておくことでめっきした。また、白金めっきには塩化白金酸カリウム(K2[PtCl6])の溶液を使い、金網2枚を直流電源の+極、−極にそれぞれつなぎ、めっき液に入れて3V程かけて、数分おきに+−を反転させて電気めっきした。この方法はインターネットで調べているうちに見つけた。
 いずれのめっきも、どれだけ時間をかけるとどの程度めっきができているかがよくわからないまま実験を行ったので、不正確なところもあると思う。
 白金については、ファラデーの実験でも有名で、水素と酸素の混合気体に白金板を入れておくと水(水蒸気)になってしまうことからも、触媒作用があることがわかる。右図は
水素2:酸素1の混合気体を水上置換で集め、画面上部にある白金板(2×2cm)のはたらきで水が生成するのを観察した実験である(この映像はビデオで撮影したものを先生に編集してもらった)。

4 実験結果

 どの電極を使ったときも同じく、直流電源に3Vで3分間つないで気体を発生させてからモーターにつないで、どれだけの時間回るか時間を計った。結果は下の図のようになった。

 炭素棒1本の時が30秒ほどで、炭素棒を2本使ったときでは1分程になり、ちょうど2倍になっていることから、電極の表面積の違いがそのまま出ていると思われる。
 また、何もメッキしていない金網を取り付けたものは、炭素棒だけの時とほとんど変わっていないことから、金網自体の影響はほとんどないと考えてよい。それと比べると、金網にパラジウムや白金をメッキしたものは、明らかにモーターを回せる時間が延びていることから、反応を促進するための触媒としての働きがあることがわかる。ただし、パラジウムと白金ではどちらが効果があるのかについては、今回の実験ではメッキの程度が一律ではないので、どちらともいえない。
 今回の実験でもっとも長い時間モーターを回すことができたのは備長炭を使った場合であった。これは、備長炭には目に見えないほどの無数のすき間があって、反応する表面積が非常に大きくなっていることが理由ではないかと思われる。また、今回の実験では、炭素棒の断面の直径は5mmほどであるのに対し、備長炭は20mm程度(形が一定ではないが)であり、大きさもはじめから違ったということも影響しているだろう。

5 まとめ

 今回の実験でわかったことをまとめると、
   1 水素と酸素から水ができる反応は発熱反応で、
     エネルギーを電気の形で取り出すことができる。
   2 反応する表面積が大きいほど効果がある。
     備長炭はその点で優れている。
   3 白金やパラジウムはこの反応に触媒作用をもつ。

 今回の実験では、モーターが回り出してから止まるまでの時間を計測したが、モーターが止まったあと、配線をはずしてしばらく置き、再びモーターをつなぐと回り出すことがわかった。1〜2分しか使えない電池では実用性がないが、まったく使えなくなるのではなく、しばらく休ませると使えるというのはどういうことだろうか。そこで次のような仮説を立てた。

=仮説=
 燃料電池にモーターをつなぐと、モーターはたくさんの電流がないと回らないので、すぐに極板表面での酸素と水素の供給が追いつかなくなり止まってしまう。

 続けて長い間回転させるには、同じ燃料電池をいくつも並列に接続するか、触媒をもっと効率よく働かせる工夫をしなければならない。

 実際にどれほどの電力が取り出せるのか調べることが今後の課題である。

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