2006年12月20日

戸田提山展

戸田提山展パンフレット.jpg パンフレット裏.JPG

 前に、このブログでちょっと触れた

 「書人-戸田提山展」 と 作品集「淡墨桜」

 のパンフレットができあがりました。

 この展覧会は

 名古屋城天守閣 2階展示室

 で行われます。

 期日は 平成19年2月17日(土)~3月18日(日) です。

 日展内閣総理大臣賞を受賞された「霊機」という作品をはじめ
 造形性にあふれた作品を中心として陳列されます。
 パンフレットの裏にある作品を見てもらうとわかってもらえるかと思いますが、
 書道を全然やったことのない人でも十分に楽しめるのではないかと思っています。
 ぜひ、足を運んでみてくださいね。
 
「淡墨桜」パンフレット.jpg

  それから同時に 作品集「淡墨桜(うすずみざくら)」 が発行されます。
 こちらは展覧会に出品されるものだけでなく
 戸田先生の近作を中心として、書論・随筆・年譜まで収められています。
 少し高いと思われるかもしれませんが、展覧会に行っていただき
 一度手にとってみていただければ、十分その価値はあるものだと
 わかっていただけるのではないかと思います。

  興味を持っていただけた方は
 「何有社(かゆうしゃ)」のホームページができましたので
 そちらも覗いてみてください。

 http://www.kayuusya.jp

 まだ立ち上がったばかりで、不十分なところがたくさんありますが
 これからどんどん充実していくと思いますので
 ちょくちょく覗いてみてくださいね。
 


 

投稿者 shintaro : 14:58 | コメント (0)

2006年11月20日

ありがとうございました。

江田船山古墳太刀銘web.gif DSC00203.JPG

 何有展が無事に終わりました。
今回も1,000人を超える来場者に来ていただき、
盛況のうちに終えることができたんじゃないかなって思っています。
何有展に来てくださった方々、わざわざ足を運んでいただきありがとうございました。

 さて、今回の作品ですが「江田船山古墳太刀銘」というのを選びました。
日本史でも出てくるので知っている人もいると思いますが
この字、日本人が書いたと思われるものの中で
最も古い時代のものの部類に入るのではないかって言われてます。
古墳に入るくらいですから、この文字を書いた人は
大まじめに、そして真剣に書いたと思われます。
でも、現代の我々から見ると何ともかわいいというか、
素朴な、楽しい感じがしませんか?
 そんなところを表現できたらいいなって思っていたんですが
なかなか上手く表現しきれなかったなって反省しています・・・

 今回の何有展は昨年に引き続き

 「日本の発見 -美の源流-」 

 という課題の下、日本人が漢字を使うようになった原点だと考え、
ここから仮名や、和様は始まっていったんだと捉えて取り組んでみました。
来年は課題が変わり、

 「純粋造形の探求 -文字性の中で、感動の直接的表現-」

 というのが与えられてます。
何とも、どう捉えたらいいのか・・・もうすでに悩んでます。
もしよろしければ来年の、そして春にも何有展がありますので
足を運んでくださいね。

 そうそう、来年の平成18年2月17日(土)~3月18日(日)まで

 「人生山脈只茫々 書人-戸田提山展」 が

 名古屋城天守閣で行われます。

 僕の師匠である戸田提山先生が亡くなり、
その集大成としてこの個展が企画されています。
この間、計画の進行具合を少し聞かせていただきましたが
かなり力の入った、すばらしいものになると思います。
ぜひ、そちらにも足を運んでみてくださいね。

投稿者 shintaro : 18:55 | コメント (0)

2006年10月20日

筆の持つ位置とは???

 僕はこの学校に赴任してくる前に、
大学卒業してすぐこの学校で非常勤講師をしてたことがあるんです。
(といっても1年間だけですが)
そのとき僕の授業を受けてくれてた人からこのブログにコメントをもらいました。
詳しくは「第29回 何有展」のコメント欄に載せておきましたが
「ポッポルンガ」という僕にとってはとっても懐かしい言葉と共に、
「左手で筆を使って上手な字は書けるの?」っていう内容もありました。
 この質問に対する答えもコメント欄に載せておいたので
興味のある人はそちらを見て欲しいんだけど、
そこでふと思ったことを一つ。

 筆の長い軸、どこを持ったらいいの?って思ったことない?
筆の持ち方は教えてもらったけど、軸の長さがいろいろある中で
その持つ位置は紙から??cmでいいのって。そんな問題を、
一つの基準としてこんな風に捉えたらどうでしょう?
ここから先は前にも触れた、小木太法先生から伺った話です。

 ①筆の持つ位置は、人差し指の第二関節付近で筆の重心をとり、
  (やじろべえのようにして)そこを基準にして軽く握る。

 これは筆を持って上下に動かすとよくわかると思うんだけど、
その重心で持たなければ動かしにくいでしょ?

 ②大きな文字を書くときほど、軸の端を持つ。

 文字は基本的に、水平・垂直の線と円から成り立っている。
それらの点画を書くときに支点を決めなくてはならない。
だから大きな文字を書けば書くほど、その支点は紙から遠くなり、
軸の端になるってことなんです。
 そしてさらに大きくなるときには、
支点が肘、肩、足首へと移っていくということなんです。
それ以上になったらどうなるかって?
それは書けない(書かない)ってことになる。

 こんな風に考えたら、とってもわかりやすくて合理的だと思わない?
ちなみに僕も同じ考えで筆を使っているし、
筆を買うときにも同じ方法で筆を上下に動かしてみて
一番しっくりくる(動かしやすい)ものを買うようにしてます。
筆の軸には長さと共に太さも重要な要素になってきます。
全部同じに見えて、実際やってみると結構違うもんですよ。

投稿者 shintaro : 22:44 | コメント (0)

2006年04月24日

ありがとうございました。

H18 何有展「鳳」.jpg H18 何有展.jpg

 昨日で『平成18年 春の何有展』を無事終えることができました。
会期中は本当にたくさんの人が足を運んでくれ、
会って話ができた人も、そうでない人も、来てくださった皆さんに感謝・感謝です。
この場をお借りしてお礼を言いたいと思います。
今回は、前回と比べかなり多くの人に来場していただけました。
僕の記憶が確かならば、
会期中、延べ1,488名の来場があったということです。
これは前回が1,000人を少し超えるくらいの数だったと思いますから
そこから考えても本当に多くの方々に作品を見ていただけたんだな、と
うれしく思っています。
 次回は11月に開催予定ですから、またぜひ足を運んでくださいね。
多くの人に見てもらって、見てくれた人が少しでも足を止めてくれるような
作品を作っていければな、と思っています。
さぁ、またがんばらなくっちゃ。
 また制作意図や制作途中のことも書き込んでいきますから
ぜひちょくちょくのぞいてみて、いろいろ感想を書き込んでくださいね。

 さて、僕の作品はいかがでしたか?
今回の作品は思いもかけず、多くの方々からお褒めの言葉をいただきました。
そんなにも褒めてもらえるなんて、かなりビックリです。
前に書いたとおり、少しでも「風」を感じてもらえたなら
僕にとってこれ以上うれしいことはないです。
それ以外の感想・ご意見、何でもいいので教えてください。
 会場に行けなかった人も写真を見て何か感じたことがあれば
ぜひぜひご意見くださいね。
 当日、デジカメを持って行くのをわすれ、
仕方なしに携帯で撮った写真なのであまり鮮明なものになっていないですが、
また写真が手元に届いたら、載せていきたいと思いますので
しばらくは我慢してください。
すみません・・・
 

投稿者 shintaro : 17:51 | コメント (0)

2006年03月09日

平成18年 春の何有展 part2 

Scan21.bmp

 先日、春の何有展に「鳳」という字を題材にして作品を作ったと書きましたが、
実はこれがその題材にした文字なんです。
左側の「口」みたいな部分はホウ(ハン)という音を表していて、
右側はまさに象形文字です。
王冠をかぶっていて(?)、右を向き、足があって、長い尾がある。
まさに鳳凰が飛んでるように見えませんか?
それにしても、鳳は想像上の生き物で実際に見られたわけでもないのに
昔の人は想像力豊かで、簡潔に、しかも的確に表現したと思うよねぇ。
いや、昔は本当にいたりして・・・!?

 この「鳳」という字は後に「風」という字に通じていきます。
というのも、「鳳が飛ぶことによって風が起こる」と考えられていたからです。
しかもみんなが知っての通り、鳳は吉兆をあらわす鳥だから
意味としてもいいし、鳳が飛び、風が起こる。
そんな感じが少しでも表現できたらいいなと思いました。

 もちろん、創作なのでそのまま書いた(臨書した)わけではないから
この題材を元に、どんな風に自分なりの解釈を加えたのか
ぜひ、本物を見に行ってくださいね。

 日時 平成18年4月19日(水)~23日(日)
     午前9時~午後5時(最終日は午後4時終了) 

 場所:安城市民ギャラリー
     ○名鉄西尾線 南安城駅下車、徒歩10分
     ○JR東海道本線 安城駅下車、タクシー10分
     ●あんくるバス(市内循環バス)市街地線 歴史博物館下車
     JR安城駅から9分 名鉄南安城駅から5分

 です。ちょっと交通が不便かもしれませんが
戸田先生の小品展も行われるので、ぜひ一度足を運んでくださいね。

投稿者 shintaro : 11:31 | コメント (0)

2006年03月02日

平成18年 春の何有展

Scan2.jpg

 三年生を送る会、卒業式も無事に終わり、少し時間ができたので、
またこのブログをちょこちょこ更新していこうかなと思っています。

 さて、先週の日曜に「春の何有展」に出品する作品が決定されました。
今回は併催で僕の師匠である

   「戸田提山小品展」も企画されているのでぜひ見に来てください。

 さて、僕が作った今回の作品についてですが、
よくある公募展(たとえば、日展とか中日展、毎日展とかです。)は
紙の大きさが決まってるので、ある程度書く内容が決まってきてしまいます。
でも何有展では自由に書けるので(秋は課題が与えられていますが)、
最近は毎回、自分自身の中で課題を見つけながら作品を作っています。

 去年の春に出品した「常照我」は、
これまで横書きの作品を作ったことがなかったので
3文字にして、作ったらどうなるんだろう?とか、
 同じく去年の秋に出品した「藤原師長書状」は、
漢字かな混じり文を自分の中で挑戦したことがなく、
「日本の美の発見」というテーマの下、
臨書という課題も与えられていたのでぜひやってみよう、と思ったり。
 とにかく、ここ最近はそんな感じで作品を作っています。
いろいろ挑戦することができたら、
自分の作品の幅も広がるかな、と思ってのことです。

  さて、今回ですが今までどおり
自分がまだやっていないことをやろうということで、

 「甲骨文」から「鳳」という字 を選んでみました。

 「甲骨文」とは、亀の甲羅や骨に彫られた文字で、
主に占いに使われていました。
まず、亀の甲羅の中央に穴を開けます。
そして左右に占いたいことの反対の意味を書きます。
(右には「今年は豊作になる」、左には「今年は豊作にならない」ってな感じで)
そこで、熱した棒を差し込むと温度差により亀裂が入る。
その亀裂の入り方で占ってたみたいです。
どういう亀裂が吉とされていたかは諸説があるので、よくわからないですが
占いという字の昔の字である「卜」はその亀裂を表したものだし、
その音の「ボク」というのも亀裂が入ったときの音からきているそうです。

 まぁ、話がそれてしまいましたが
みんなが知っているとおり象形文字なので
かなり面白い字がたくさんあります。
で、今回の作品ですがその象形文字(甲骨文)を使って
文字を書きながら、絵画的な要素が表現できないかということに
挑戦して見ようと思ったんです。

 本当は少字数作品でまだ濃墨作品を作ったことがなかったので、
最初は濃墨で書いてたんだけど、
どうにもイメージに合わず、むしろ淡墨でにじませたほうが
「鳳」の神々しさなんかが出るかな、なんて思い
結局淡墨になってしまいました。
まぁ、濃墨作品は次回に持ち越すことにします。

 とにかくどんな作品になったのか、
周りからの反応もよいみたいなので
自分自身楽しみにして出品してますから
よかったらお出かけくださいね。


投稿者 shintaro : 09:29 | コメント (0)

2005年12月22日

料紙

PICT0005.JPG 料紙.bmp

 料紙とは、様々な加工をした紙のことをいいます。
昨日、書道のアカデミック講座があって、
大学の先生に講義をしていただきました。
内容は、紙についての全般的な話。
紙が一般的に使われるようになる前の書写材料に始まって
紙の大きさや種類について、本物の料紙を
見せていただきながら説明していただきました。
 後半は実際に料紙を作るってことで
持ち寄ったはがきに色を塗ったり、金箔をちりばめたり
版木で柄をつけたり、色をぼかしたり・・・
参加した人たちは楽しそうにやってました。
意外に僕が作るよりも、みんな上手かったなぁ・・・

 ちなみに右上の写真は僕が作ったもの。

投稿者 shintaro : 14:55 | コメント (4)

2005年12月13日

寒いね

墨池保温シート.jpg

 今日は日中に雪が降るほど寒い日でした。
以前に、「夏は墨が腐りやすい」ということを書いたと思うんだけど
こんな寒い日も実は墨にとっては良くない環境なんです。
というのも、前に墨は「煤」と「膠」からできているってことを
書いたけど、この「膠」が冬はまたダメなんです。
「膠」は動物性の脂ですから
温度が高くなると柔らかくなり、
逆に温度が低くなると堅くなるという性質を持ってます。
 だからこんな寒い日は墨が堅くなって「伸び」が悪くなり、
一文字書くのに墨が続かずにすぐにかすれてしまう、
なんてことが起こるんです。
 そんな悩みを解消してくれるのがこの「保温シート」。
写真の硯の下に敷いてある、黒いものがそうなんだけど
コンセントを差し込むと温かくなって硯を温めてくれる。
墨にとって一番の適温は25℃前後なんだけど、
墨がその温度になるように硯を温めてくれるってわけ。
なかなかいいでしょ?

 でも書いている人間の方も寒いので
ストーブやエアコンをつけたりしていると
今度は逆に墨が温まりすぎてしまう。
そうなると今度は墨が「ダレて」、薄くなったように感じてしまう。
しかも温かい上に乾燥してるもんだから
墨がすぐに乾いてしまうんだよね。
だからこの時期は夏よりも墨の状態には気をつけます。

 ちなみにこの保温シート、
25度が笑み浮かぶ.jpg

「25度が笑み浮かぶ」という名前なんです。
もうちょっと、いい名前があるような気がしますが・・・(苦笑)

投稿者 shintaro : 15:35 | コメント (2)

2005年12月07日

パソコンを使ったら

 今日、書道の授業でパソコンを使った授業をしてみました。

創作作品を作る際、
 ①書道辞典を使いながら文字を拾い出し(コピーすることも)、
 ②自分のイメージに合うように半紙や作品と同じ大きさの小さい紙で草稿をつくり
 ③実際に作品に仕上げる

 という作業をするんですが
草稿を作るまでがなかなか大変。
かつ、頭の中で「あーでもない、こーでもない」と考えながら
試行錯誤を繰り返していきます。
 この①、②の作業がなかなかしんどいんです。
なのでその作業をコンピューター上で行ったら、
どれだけでも保存可能だし
「失敗した」と思えば前の作業に戻れます。
だから少しはパソコンを使う利便性があるんじゃないかと思い、
昨年度から授業に取り入れてます。

 もともとパソコンに取り込んでおいた文字のデータをコピーし
作品の大きさに設定した(今回は色紙大の大きさです)
Power Pointのスライドに貼り付けていくという作業を繰り返すもの。
それができたら、あとは文字の配置や大きさを
画面上で調整していけばいいんです。

 パソコンを使うと、ただ単に保存しやすいことや、
過去に戻れるだけでなく、
文字と余白のバランスをすぐに調節したり、
即座に文字を入れ替えることができます。
また、教室にある大きなスクリーンに映し出し、
全生徒に例示することができます。

 ただ、文字を切り取って、貼り付けするという作業が
なれない部分があって大変かな、と思ったんだけど
さすが、情報科の先生がしっかりやられてるだけあって
みんなよくついてきてくれました。
それ以外にも、実際に作業してみて気づいたこと
よくわかったこと、逆に面倒だと思ったことなんかがあるんじゃないかな。
もし、そんな感想があればぜひコメントしてください。
これからに生かしていきたいと思います。

投稿者 shintaro : 17:46 | コメント (1)

2005年11月15日

「匠」の技

裏打ち②.bmp

 今日、出張に行ってきました。
その内容は、『表装全般について』です。
表装というのはもともと、経巻や書画を保護装飾することを目的に始まりました。
それが中国から日本に伝わって、
軸装にとどまらず、額、屏風、巻物、襖などに発展しました。
表装の種類、表装の仕方など、実演を交えて見せていただきました。

 実際に見てみると驚くことがいろいろと…
特に裏打ちの仕方については、今まで教えられていたことと
全く逆のことがあったりして、「目からウロコ」ってって感じ。

 ご主人が大切なのは、紙と糊だって言われてたけど
僕が特に驚いたのは「糊」。
小麦粉のデンプンから作ったもので、
新しく作ったものと、何年か寝かしたもの
(見せていただいたのは8年寝かしてあるものらしい)
を使い分けてるんだって。
「化学のり」は、修復の際ダメだから使わないんだって。
 そして印象に残った言葉は、
「虫も食わないものはダメだ」って言葉。
よく、紙が虫に食われるってことはあるけど、
やっぱり、天然のものが一番なことと、
先人の知恵ってのはスゴイんだな、と感心させられました。

 あとはそのご主人が
県内で1番じゃないかっていう技術が「洗い」という作業。
よく、紙に「シミ」が出来たりするんだけど
その「シミ」を見事に取ってくれました。
部分部分に作業をしていくのかと思ったら、
作品全体に薬品をかけて、言葉通り「洗って」ました(苦笑)
でも作業後の作品は、まるで新品のようにきれいになってて
またまたびっくり。

 簡単そうに見える作業ほど難しいんだよねぇ・・・
いやぁ、ホントにいいものを見せていただきました。
近いうちに自分でも出来ることはやってみようと思います。
ただただ感心させられた一日でした。


投稿者 shintaro : 22:40 | コメント (0)

2005年11月10日

「良い紙」って?

 昨日の授業中、最後の方になって普段使っている半紙が無くなってしまい、
仕方なしにいつもより「安い」半紙を使ってもらいました。
(もちろん、用意してなかった僕が悪いんですが・・・)
すると、生徒から「書きにくい」とか「つるつるすべる」なんて反応が。

 ってことで、「良い紙」とはどんな紙か?また何が良いのか?
そしてどこをみれば「良い紙」だとわかるのか?
そんなことを今日は書いてみようと思います。

 「良い紙」の条件は「薄い紙であること」です。
もちろん、触ってみればわかりますが・・・
じゃぁ、「薄いだけでいいのか」ということもあるのでその話を続きで。

半紙裏.jpg

 「良い紙」はただ単に「薄い」だけではありません。
それは書いた紙を裏返してみるとよくわかります。
「良い紙」は書いた後裏返すと、書いた線に「白い斑点」のような、
白くなってる部分があります。
つまり「良い紙」は右側です。左側のは真っ黒でしょ。
これはつまり、「紙」が「墨を吸いすぎてる」ってこと。
こうなると、書いているときに筆の墨が吸われすぎて
筆が引っかかってしまい、書きににくなってしまうんです。
もちろん、線も変わってきます。

半紙輪郭線.jpg

 線といえばこの写真を見てもらうとわかるかな。
さっきの写真もそうだけど、
もちろん、これらは「同じ墨」で、「同じ筆」、「同じ人」が書いてます。
画像なのでわかりづらいかもしれないけれども、
左側の方が「輪郭線」が「はっきり」、「くっきり」してるでしょ?
右側は「輪郭線」ぼやけているようで、
線そのものもまったりとしたものになっちゃいます。
それに比べて左側の線は輪郭線がはっきりしてるせいで
線が立体感のあるように見えない?
(もちろん、「書く人」によって立体感はもっと出てきますが・・・)

 つまり、「良い紙」というのは、
「薄い」紙でありながら、「墨を吸いすぎない」ので、
「程よく筆の弾力が使える」ため書きやすく、
「書いた線がきれいに出る」ってことなんです。

 でも、「仮名」を書くときには加工された紙(「料紙」といいます)を使います。
にじまなく、つるつるすべるので、墨をたくさん含まない小筆でも長く書けるし
なめらかな線になったりします。
逆に、にじみをねらいたい時にはわざわざにじむ紙を使いますが。
まぁ、書く作品による部分もあります。

 で、何が言いたいかというと、

 「半紙」とはいえ、「職人の技」がそこにはあるんです。
だから100円均一の紙ではいけないんです。
そして「良い紙」を使うと、自分が上手くなったような気分になります。
でも!その勘違いが上達する一番の近道なんです。
「紙」一つで上達する進度が変わるなんて、
うーん、まさに「匠」の技ですね!?

投稿者 shintaro : 22:18 | コメント (1)

2005年10月24日

無事終了。

何有展風景.jpg

 昨日、それまで開かれていた「何有展」が無事終了しました。
僕の作品はなんと、第1室に飾られていましたが気づいてもらえたかな?
それに多くの人々が見に来てくれ、感謝感激です。
また、次回もよろしくお願いしますね。
僕自身の作品は、また改めて載せたいと思います。
見に行っていただいた方、もし感想があればよろしくお願いしますね。

投稿者 shintaro : 17:43 | コメント (0)

2005年10月22日

全自動?

墨磨り機1.jpg 墨磨り機2.jpg

 小学生の頃、「書写」の時間に先生から
「墨を磨るのは、これから書くにあたって心を落ち着かせるためだ」って言われたけど、
当時の僕は墨を磨るのは面倒くさいし、疲れるし、時間がかかるし・・・
かえってイライラするだけだった。
「墨は手で磨ったものでなければダメなんだ」なんてことがわかったのは
専門的に書道を始めてから。
もちろん、心が落ち着くっていう精神論だけじゃなくて
磨った墨と、墨汁との書き味の違い、墨色の違いなどからなんだけど、

 でもやっぱり墨を磨るのは面倒くさい・・・

 特に、大きな作品を書くときなんかは大変で、
1枚書いてみて、「さぁ、今度こそ!」と思ったときに墨がない・・・
調子に乗って書いていたら墨が無くなった・・・なんてことも。
 そんなときに大いに役に立つのが「墨磨り機」なんです。
あの、有名なテレビ番組『トリビアの泉』で取り上げられて、「80へぇ」以上を獲得してたけど、
そんなことだったら僕も応募しておきゃよかった・・・
まぁ、先を越されたことは仕方がない。
遅ればせながら僕が使っている墨磨り機をちょっと紹介。


 墨磨り機には、大きく分けて2つの種類があります。
①磨るときに墨が動くもの。 と ②磨るときに硯が動くもの。 の2つ。
①にはさらに2つの種類があって、
一つは、墨が円を描く形で動くもの。
もう一つは、墨が手磨りと同じく前後に動くもの。 の2つです。

 僕は、墨が円形に動きながら磨るタイプのものを使用しています。
以前は硯が動く(もちろん、前後ではなくて硯がクルクル回るタイプ)のもありましたが、
墨磨り機が小さく、たくさんの量を磨れないことと、
硯が人造石で、なかなか磨れないことからやめました。
 今使っているのは、写真左のタイプ。
そしてそれを買う前に使っていたのが右のタイプです。

 写真右のやつは自分で買ったのではなく
お世話になっている人から、使わなくなったということでいただいたもの。
話を聞くと、「墨磨り機」というものが出来た時のものらしい。
これね、よく写真を見てもらうとわかるんだけど
段ボールで囲まれている。しかも段ボールの内側が墨で黒く・・・
実はこれ、墨が回転する速度がとんでもなく速いんです(泣)
だからある程度墨が濃くなって粘りが出てくるまでは飛び散るんだよね・・・
その結果段ボールの内側が真っ黒になっているんです。

 昔聞いた話が間違いじゃなければ
モーターというのは早く回転させることは簡単だけれども、
逆にゆっくり回転させることはとっても難しい技術だったそうな。
で、当時としてはこれでも最大限の結果だったらしい・・・

 そして、左側の写真にある、今の墨磨り機なんだけど
使ってみると回転がとってもゆっくりになってます。
だから段ボールで囲む必要がないわけです。
でも、ただ単に回転が遅くなったということだけではいけないので、
他に進化した点を見みます。
 まず、墨が2丁同時に磨れるようになってます。
   →「何だ・・・」と思うかもしれないけれども、倍の早さで磨れるんです。
     また、同じ所を磨るのではないので小さめの硯でも墨を取り付ける場所を考えれば
     磨ることができます。
 次に、墨を磨るときに必要な水をためておくタンクが付いてます。
   →硯に入れる水の量を調節するコックが付いてるんだけど、
     僕はあんまり使っていません。
 さらに、タイマーがついてます。
   →でも、ブザーが鳴るだけで、動きは止まってくれません・・・ 
     逆に止まってしまったら、墨が固まって大変ですが。

 ってな感じです。
でも、たくさんの量を「楽に」磨るのにはとっても良いのだけれども、
作品にする際、濃墨にするのでないのならば使いません。
やっぱり「機械」で磨ったものでは良い色が出ないんです。
もちろん、硯そのものの違いもあると思うんだけど
「手磨り」にはかないません。
なんで?って言われても難しいんだけど、
結論は「奥が深い」ってことかな。

投稿者 shintaro : 17:43 | コメント (2)

2005年10月15日

藤原師長 消息

藤原師長 web.gif

 「藤原師長(ふじわらのもろなが)」と読みます。「消息(しょうそく)」というのは、手紙のこと。
前にこのブログで紹介した「何有展」が近づいてきたので
今回僕が出品した作品について種明かしをしていきます。
 この作品を見て「スゴイ!」と思った。そして「これを書いてみたい」って思った。
なので、臨書(ある作品をそのままに書くこと)して出品してみました。
何でそう思ったかはこの続きで・・・

 まず、今回の展覧会のテーマは 「日本の発見 -美の源流-」だったから
そのテーマに沿った作品を作らなくちゃいけない。
それでどんな題材にしようかと頭を悩ませていたときにこの作品を見つけました。
 作品の前半部分は行が大きく傾いたり、行間が極端に狭かったり、
また途中で終わっちゃったり・・・ホント、自由にのびのびとした印象を受けます。
後半になると行間が空き、また行もまっすぐになってくるものの、
行の書き出しがだんだん下がっていったり…
これはまさに意識して書いたものではなく、手紙であるからこその自由さじゃないかな。
こんな風に、「見せよう」という意識ではなく、だからこそ生まれてくる美しさがあるものを
「卒意(そつい)の書」といいます。
(※代表的なものには王義之の「蘭亭序」とか空海の「灌頂記」などがあります。)
 これを最初に見たときに、作品全体が円形にせり出してきてるような迫力、
あるいは、地球儀のような丸い立体感があるな、と。
そしてその迫力・立体感と、自由な行の配置からくる余白の美しさが
自分で表現できたら・・・と思ったんです。
 もう一つはこの作品が「漢字仮名交じり文」であるということ。
藤原師長は平安時代の人。もちろん男ですが、そこにポイントが。
元来、男が書く書状は漢文だったんだけど
仮名交じりの書状が宮廷内外に流行し始めるのは
平安時代末期からだから、この作品はそのはしりじゃないか、と。
そういう意味では「漢字仮名交じりの書」において一つの「美の源流」があるんじゃないか、と。
まさに今回のテーマにぴったりだと思ったんです。
これをある人に見せたら、「藤原行成の作品が持つ美しさに共通するものがある」
って言われたけど、もしかしたらあの藤原行成にこの作品は影響を与えてるかもしれない。
そんなことからもまた「美の源流」として考えてもいいかな、と思っています。
 この写真を見て、実際に僕の作品を見てもらったら
「あそこが違う」「ここが違う」って言われるかもしれない。
でもそれでいいと思うし、ぜひ言ってください。
僕の解釈があってるのか、間違っているのかってことも気になるしね。
では、長々と書いてしまいましたがよかったら感想くださいね。


投稿者 shintaro : 11:09 | コメント (2)

2005年10月10日

いよいよ

第二十八回 何有展.jpg

 「何有展」まで一週間になりました。
ついこの間作品集の校正を一足先に見ることができました。
今回から印刷会社を変えたこともあるんだけど
その作品集の出来もなかなかでした。
 自分の作品を見て、我ながら「何とか見られるものになったじゃん」
なんて悦に入っておりました(笑)
作品を仕上げて表装されるまで、実は本人も対面してないんだよね。
搬入後に会場で見るのを楽しみにしています。
ぜひ、どんな感じになってるのか見に来てくださいね。

投稿者 shintaro : 21:41 | コメント (0)

2005年09月30日

いい匂い?臭い?part2

DSC00019.JPG

 この間、授業で「気持ちが悪い」と言ってきた生徒がいました。
その原因はその生徒の体調管理ではなくて、このバケツから出てくる臭いが原因でした。
このバケツの中身は・・・そう、「墨」です。
実は、バケツの中で墨を腐らせていたんです。(苦笑)
 以前、墨が腐ると「すごく臭い」ってこのブログで書いたんだけど
その時に臭いもさることながら、「色(墨色)も悪くなる」って書いたよね。
じゃぁ、なんで「わざと」腐らすのか・・・
それには、やっぱり訳があるからなんです。

 実は、固形の墨であってもそのままの状態でだんだんと腐っていきます。
そして墨の中では「加水分解」が常に起こっているんです。
(正倉院に納められている墨なんかは、おそらく元は「固形」であっても現在は「粉」になっているんじゃないかな・・・)
 「できたての墨」というのは、すぐに使うことができません。
出来てから、2~3年はそのままおいておくのがベストです。
で、それくらいの時間が経つと墨が「落ち着いて」使えるようになります。
そして「膠」もゆっくりとした時間をかけて腐っていきます。
何百年も経つと「膠」は完全に腐るから、その時にしか「出ない色」がある。
(もちろん、色については現在より昔の方が「良い材料」を「たくさん」使うことが出来た。ってこともあると思いますが・・・)
 でも、そんな時間が経っている、いい墨(「古墨」といいます。)はとんでもなく高い
(たぶん高級車が買えるくらい)し、使えないので何とかしなければいけない。
で、今ある墨でその色に少しでも近づけるために墨をすった状態で腐らせます。
そうすると固形の時よりも早く腐るので、古墨に近い風合いが出る可能性があります。
(「可能性がある」と言ったのは、そうすれば完璧にできるか、というと当然失敗する可能性もあるからです。)
最低1年、そして2年待てば臭いもなくなり、作品に使えるようになるかな。
それから「いい色」を出すために、クサイ臭いに耐えながら
「かき混ぜ」たり、「水を足し」たり、「布で漉し」たりします。
そんな涙ぐましい努力もあるんです。

やっぱり、墨は「生き物」なんです。


投稿者 shintaro : 21:06 | コメント (1)

2005年09月21日

今日から

 名古屋市博物館で「愛知県高等学校文化連盟 高校書展」が開催されています。
名古屋地区・尾張地区の高校が数多く出品しています。
ただ単に書くだけでなく、書いたものを切り抜きにし裏から色紙を貼っているもの、
あるいは色紙にそれぞれの感性で自由に書いているものなど
さまざまな作品が並んでいます。
 昨日、京都にある亀岡高校のHPをのぞいてみましたが
そこでは書道に関するさまざまな取り組みがなされていて、
(たとえば書道経験のない先生も出品する全校的な書道展なんかも開催されていて)
大変感心しました。一度のぞいてみてください。
ぜひこの学校でもやってみたい、と思っています。
 書道に限らず、芸術は「自己表現」ですから
さまざまな方法でさまざまな気持ちを表現してほしいと思います。

そのためにはやっぱり「自分と向き合うこと」が大切だろうね。

投稿者 shintaro : 14:44 | コメント (0)

2005年09月11日

シワが気になる・・・

 といっても、顔の話じゃありません。(当たり前か…)
よく、半紙を練習するときに折り目を付けて書くでしょ?
でも作品として仕上がったものには、折り目だとかシワなんて一つもないじゃん。
あれは「裏打ち」という作業をしています。
 じゃぁ、どうするの?ってことなんだけど、シワを伸ばすには…
そう!「アイロン」をかけちゃえばシワが伸びるかも!!
ってなことで、一番簡単な方法でやってみます。

 今日は文化祭も近いので、「裏打ち」をしてみました。
裏打ち用紙.jpg
 裏打ち1.jpg 裏打ち2.jpg 裏打ち完成.jpg

 ①まずは、「手軽にできる 裏打ち用紙」というのがあるので、これを使います。アイロンの熱で糊が溶け、くっつくやつですから、糊が付いている面を間違えないように。半切5枚分で1500円くらいだったかな。
 ②最初の作業は、新聞紙を敷いて作品を「裏向きに」乗せます。そしたら「軽く」霧吹きで水をかけていく。余分な水分は新聞紙が吸い取ってくれるので、新聞紙は必需品。
 ③そしたらそのまま書道用の下敷きの上に乗せ、作品より少し大きめに切った「裏打ち用紙」を乗せます。ただし、「糊が着いている面が下」になるように。あとは、「中央から外へ」アイロンがけをしていきます。コツは何度もアイロンがけをせず、一回で済ますようにゆっくりやることかな。
 ④あとはすぐに表に返してさまします。ほら、シワがとれてきれいになったでしょ?

 ここまできたら、余分な部分をカッターで切り取り、額とか軸にしてやると立派な見栄えになります。
そんなに難しくないので、ぜひ挑戦してみてね。

 他にも「水表装」という方法もあって、これは作品をビタビタに濡らしてしまいます。
だから、ちょっと「テクニック」と「慣れ」が必要ですが、
これをやると「破れていても」、「汚れていても」修復可能。
準備や、その後が大変なのでまた紹介します。

 PS.でも、やっぱり自分でやるよりプロに頼むのが一番きれいに仕上がるけどね。
    お金がない高校生はこの方法でガマン、ガマン…です。(泣)

投稿者 shintaro : 12:08 | コメント (1)

2005年09月10日

いい匂い?臭い?

墨が腐る.jpg

 9月に入ったというのに、まだまだ暑い日が続きます。
そこで一つ。
 よく書道教室に入ってくると「あっ、墨のいい匂い」って言葉を聞きますが、
その匂いというのは、「墨の匂いじゃない」んだよね。
墨は木を燃やした「煤(すす)」と「膠(にかわ)」と「香料」でできています。
そこで重要な役割を果たすのが「膠」なんです。
 煤は水に溶けることが無いので、その煤と紙とをくっつけているのが「膠」。
そして墨を固形たらしめているのも「膠」なんです。
これって実は動物の骨や皮を煮たものから作られています。
つまり、「動物性の脂」ですから温めれば溶けるし、冷やせば固まります。
そして「臭い」し、「腐る」んです。
だからその臭いを抑えるために「香料」が使われます。
みんなが「墨の匂い」と思っているのは、実は「香料の匂い」なんです。
夏の暑い時期には、2時間もすれば墨は腐ってしまいます。

 墨は「生き物」なんです。

 墨が腐るとどうなるのか?
それは「変なにじみ」が出てきます。
ちょうど写真のようなのがね。
色も扁平な、いい色では無くなってしまいます。
 そして・・・その臭いは耐えられないほどの「臭さ」です。
興味のある人は書道教室にありますから、かいでみてください。
だたし、食事をした前後は薦めません。

 でも、僕はわざと「墨を腐らせる」こともするんです。
それについてはまたいつか・・・

投稿者 shintaro : 16:17 | コメント (0)